北海道新幹線と青函トンネル|第3回 4時間切りを阻む見えない壁/Newsの検証
「4時間の壁」は「見えない壁」のせい
この連載では、2016年3月に開業した北海道新幹線と何かと問題視されやすい青函トンネルについて、論点や“真”の課題を明らかにしつつ、ニュースの検証をしていきます。
区間別に“時短効果”を見てみよう
前回、「北海道新幹線は設定最高速度の5-10%遅い速度で運行している」ということを突き止めましたが、これは、安全設計概念的には至極まっとうのことであり、なんかしらの遅延やリスクを避けるための“ダイヤのゆとり”でもあるため、現運用的にはJR北海道・東日本ともに責められることではないと思います。
そのうえで、それぞれの区間に固有の問題も意識しつつ、その区間の最高速を引き上げてみたときの時短効果を見てきたいと思います。
東京―大宮間の最高速度を引き上げてみた(130㎞/h)
まずは、もっともゆっくり走行している東京―大宮間です。確かに都市部であり、高速走行による騒音問題や、過密運行などにより最高速度が引き上げられない区間です。というのも新幹線建設時に沿線重ン眠による建設反対運動があり、最高速度が110km/hに制限された歴史があります。
しかし、新幹線建設の補償として建設された埼京線が、
東北・上越新幹線は埼京線と完全に並走して県内を走っているが、車両の規格の違いもあって埼京線の方が騒音は高い。(埼玉県民「埼京線の終電早すぎ!なんとかしろ」…実は地元に原因がhttp://j-town.net/saitama/sanpo/sanpocolumn/109339.html?p=2)
とあるように、実はまだ速度向上の余地が残されているような気もします。
実際には線路のカーブが多く(線形が悪いともいう)そう簡単に「はい200km/h」とはならないのはわかりますが、在来線区間を走行する山形秋田新幹線の最高速度130㎞/h(実際は安全考慮分を加味した120km/h)くらいまでは許されるのかなーと考えると、
これだけで、東京―新函館北斗間3時間54分と、4時間を切ることに成功しました!
大宮―宇都宮間の最高速度を引き上げてみた(320km/h)
次にこちらも、騒音の問題から、速度が275km/hに制限されている大宮―宇都宮間ですが、こちらを宇都宮―盛岡間と同様の320㎞/h(実際は安全考慮分を加味した305km/h)で走行すると、
これだけで、東京―新函館北斗間3時間59分と、ギリギリ4時間を切ることに成功となります。
盛岡―新函館北斗間の最高速度を引き上げてみた(320㎞/h*青函トンネル区間は140㎞/h)
さてさて、どんどんいきますよー。それでは、盛岡以北の速度を引き上げてみましょう。ただし、在来線(貨物)と共用の新中小国―木古内間はいまと同じままで。。
するとこれで、東京―新函館北斗間3時間51分と、10分以上の短縮化に成功します。
この区間は、320km/hで走行できる工事で線路が作られているにも関わらず、法律面での問題から320km/h走行ができないという意味不明な問題があるので、一刻も早く法改正してもらいたいものです。(だって工事費とかかからないんですから!)
うーん。ここまでどれでも、4時間を切れるわけですねー。。「4時間がー」とか騒いでいる人に聞かせたいですね。しかもどれも投資がほとんど必要のない話なので、その気になれば明日からでも達成できるのですから。
青函トンネル区間の最高速度を引き上げてみた(260㎞/h)
さてそれでは、数々のNewsで悪者にされているトンネル内速度の高速化にトライしてみましょう。
前後区間とおなじ240㎞/hでの走行を目指します。
すると、なんと、東京―新函館北斗間3時間38分!なるほど確かにトンネル高速化による全体時間短縮化には相当寄与することが分かります。やっぱりここはトンネルの高速化の策を少し考えなければいけないかもしれません。
目指せ、東京―新青森北斗間3時間16分!!
これまで、上げてきた区間の施策をすべて積み上げると、
となり、東京―新函館北斗間が3時間16分!!で結ばれることとなります!
ここまでの高速化が実現すると、東海道新幹線の東京―岡山間と同程度の所要時間となるので、航空機との闘いにも勝機が見えてきます。
しかし、ではトンネルを240㎞/hで走ることは本当にできないのか。
次回は、本当に貨物列車のせいで高速走行ができないのかを検証していきたいと思います。
(つづく)