地政学からモノポリーを攻略する|第2回:投資利回りに優れた土地、収益額に優れた土地
ある程度覚悟して投資したほうが実は有利。
この連載ではモノポリーを地政学的観点から分析し、現実の不動産投資判断でもよく言われる「実質利回り」を導出していきます。
第2回となる今回は、路線価と工事費のみから収益性と収益額を見ていきます。
家を建てるなら3軒
見事、同一のカラーグループを独占し、土地を開発できるようになったら勝利はグンと近づきます。できれば有り金すべてを投下してでも多くの収益が得ることができるホテルまで土地を開発したいところですが 、他でも資金の使用用途があったり、ある程度、現金を手元に残しておきたいなどの理由から、有り金全額を投資するというのはあまりお勧めできる方法ではないかもしれません。
そんな時、さてどの位投資しようか(=何件家を建てるべきか)を考えることとなりますよね。モノポリーの世界の土地は、開発状況に比例して収益額が比例しないことがゲームとしての面白さを生み出している一因と言えます。
実際の権利書を見てみると、何となく、家2軒と3軒の間が空いていることがわかりますよね。これ実は結構大きな違いなのです。目に見えて理解するために、縦軸に収益金額を、横軸に開発状況(家を何軒建築したか)を取り、土地別にグラフにして見ます。
すると、やはり家2軒と3軒の時でグラフの伸び(≒収益成長)が非連続になっていることがよくわかります。つまり、もし家を建てるなら3軒までは頑張って建てると効率的で、家4軒とホテルに関してはグラフ“なり”の成長をするともいえます。
建築費が土地によって違う
しかし、ここでもう一度権利書を見てみると、土地によって建設コストに差があることが分かります。安い路線価の土地(ブラウンや、ライトブルーのグループ側)であれば建設コストは$50/軒ですが、高い路線価の土地(グリーンやディープブルーのグループ側)になると$200/軒にもなります。
ここで改めて、先ほどのグラフを一ひねりして、横軸を開発状況(家を何軒建築したか)ではなく、建設コストの違いも加味して、投資金額に変えたものを作ってみましょう。(縦軸は収益金額のまま)
するとカラーグループにより大きく土地の性格の違いが見えてきます。
例えば、
・低い投資からも投資額に見合った十分な収益が期待できるパープル、オレンジ
・ある程度投資を重ねないと投資額に見合った収益にならないが、最終的にはものすごい収益を生む可能性を秘めているディープブルー
といった感じでしょうか。
不動産投資のキラーワード「投資利回り」を見よう
さて、$200投資して、$20返ってくる場合は、投資金額の10%が収益金額として“儲け”になるので、「投資利回りが10%」とみます。(現実では2400万円のマンション1室の家賃が月10万円として年間120万円収益なので、年間利回りは120÷2400=5%の物件となる)そこで、それぞれの土地の投資利回りを横軸に投資金額、縦軸に利回り率を取り、グラフを作ってみましょう。
すると意外なことが判明しました。
なんと低額の土地のカラーグループは投資を重ねると利回り率が着実に上がっていくのですが、高額の土地のカラーグループは一定の投資額を超えると利回り率が伸びなくなることが分かります。
特にイエロー、レッドは$700付近、グリーン、ディープブルーは$900付近で利回りが横ばいとなる瞬間があり、それ以上の投資は、収益総額こそ上がっていくものの、投資に対する利回り率は上がらないという現象が起きることは投資を考えていく上で大事な事実の一つでしょう。
(次回に続く)