地政学からモノポリーを読み解く|最終回:路線価vs実勢価格!これが交渉の基準だ!
オレンジの実勢価格は路線価の3倍!
この連載ではモノポリーを地政学的観点から分析し、現実の不動産投資判断でもよく言われる「実質利回り」を導出していきます。
最終回第7回となる今回は、前回導出した交通要衝地の影響を考慮したグラフを元に、実際にプレイヤー同士の取引においてどのくらいの価格が落としどころになるのかを見ていきます。
実勢価格の考え方
これは現実の不動産にも当てはまるのですが、実はどのくらいの期間でその投資を考えるのかが実は大切になっていきます。モノポリーのゲームで当てはめるとプレイ時間ということになります。
実際のところ、少ないプレイ時間やゲームの終盤で誰かが破産し始める段階など、残りのダイスを振る回数が少ない時は、先に導出した移動確率になる前の偶然の1回などに起因して、収益を得たりすることもあるため、実勢価格が意味をなさない場合も多々あります。
もっと言ってしまえば他のプレイヤーの独占を防ぐ目的での投資などもあるため、一概に「この価格で売買すれば勝てる」という訳では無いものの、ゲームの序盤である場合や他プレイヤーからすんなり購入可能な場合などに、「そもそもこの物件の収益性はどのくらいか」を念頭に入れて交渉するかしないかは大きな違いです。」
このことを踏まえた上で、分析者の視点で、導出したのがここで言う実勢価格です。
導出にあたり計算式による導出も考えたのですが、“目で見ての分かりやすさ”という意味から、投資対効果のグラフを元に、数値をシミュレートしながら導出することにしました。
シミュレーションの結果は、
となりました。つまり、土地の価格を実勢価格にしてグラフを作成し、なるべく同じ線形を描くような実勢価格を導出しました。では、それぞれの実勢価格はいくらだったかというと・・。
やはり強いオレンジと意外なライトブルーとブラウン
実勢価格が最も高くなったのは以外にもライトブルーの$600でした。その次に高いのが意外にもバルティック通りの$550でした。(オレンジは$500程度が実勢価格)
とはいえ、これはあくまでも投資対効果の“利回り”という側面から見たもので、実際の収益額という面から見れば、
となり、収益金額の伸びという面からでは、ボードウォークのすばらしさや、ブルー・グリーンの成長余地も魅力的なものがあります。
結局は投資哲学をどこにおくのか
さて、7回に渡ってモノポリーを地政学的観点から見てきましたが、攻略という意味から言えば、
・投資対効果の高いライトブルー・オレンジに投資するのか
・投資対収益の高いブルーに投資するのか
・期待収益総額の高いグリーンに投資するのか
といった自分自身の投資哲学をどこにおくのかが本当の意味での攻略法とも思えます。
(実際の企業でも、何を重要な指標とするのか(売上なのか利益なのか店舗数なのか)が重要)
ただし、哲学を決めていくにあたっても戦うフィールド(=市場環境)の理解を十分にしてからでないと、誤った方向に決めることとなってしまいます。この論考がその一助となれば幸いです。
(連載終わり)
過去の連載記事:
第1回:投資無くして勝利無し
第2回:投資利回りに優れた土地、収益額に優れた土地
第3回:カラーグループで見た時の投資利回り
第4回:7つのマスが生み出す交通要衝地
第5回:鍵は新交通の行き先「交通要衝地」
第6回:存在確率から見た“真”の利回り